一線で働く医療業界人の本音を訊く!vol2-ブロガー薬剤師編-(前編)

第2回目の今回はWebで情報発信を積極的に行い著書もあるFizz-DI代表児島悠史さんにインタビューを行いました。

今回はCLP共同運営者で医学部生でもある小原一剛が医学部生目線で薬剤師への疑問をぶつけている。(訊き手:小原一剛)(執筆:小原一将)

 

児島 悠史(薬剤師・薬学修士)
京都薬科大学 大学院修了
日本薬剤師会JPALS CLレベル6

 

Fizz-DI お薬Q&A:https://www.fizz-di.jp/

著書:「薬局ですぐに役立つ 薬の比較と使い分け100(羊土社)」

 

私は医学部生なので医師のブログを見ることは多いですが薬剤師のブログは見たことがありませんでした。どのような内容なのですか?

私や私の友人たちは、ブログやSNSで自分が勉強したことをアウトプットして、後輩たちが効率良く勉強・情報収集できる教材となるように情報発信しています。

医学部生で薬剤師のブログを見ているというのはあまり聞いたことがないのですが具体的にはどのような情報ですか?

実際に論文を読んで、どの薬をどんな人(高齢・腎障害・高血圧など)に使ったらリスクが高いとか、添付文書には載っていない薬の併用リスクにはどのようなものがあるかとか。自分が現場で疑問に思ったことを調べて、次に他の人がWeb検索をした時に役立てるように意識しています。

私は現在医学部の6年生なので就活に関わるため医師が書いたブログを見ることは多いです。どういう目的で薬学系のブログを見れば良いでしょうか?

医学部生にはまだ必要ないかもしれません。薬剤師がこうしてブログでやっていることは、100人の患者のうち1人いるかどうかの潜在的なリスク、それも医師では見逃しがちな、薬の薬理・動態・製剤などの微妙な違いによって生じるリスクについて扱っているものが多いです。

実際に医師がそういったブログを参考にしているという話は聞きますか?

例えば私のブログにも医師の方はたくさん来てくださいますし、参考になったとお礼を言われることもよくあります。医学論文なども活用して、なるべく広く情報を集めようとしている方が多いですね。

ただ、私は一般の人に正確な情報を届けるためにも書いています。ネット上には間違った情報や、おかしな情報がたくさんありますので。

 

医学部生にとって薬剤師が行う情報発信には馴染みがあまりないとのこと。ただ、実際に医師として働いている人の中にはそういった薬剤師による情報発信を積極的に取り入れて活躍されている人もいるようだ。

 

Web上で積極的に情報を発信されていますが、そういった場所にある情報の精度はどのような状況なのでしょうか?

はっきり言って、ネットの情報は微妙なことが多いです。極端な・・・あからさまな間違いは少ないですけど、情報に根拠がなくて、ただの噂話や憶測、間違った古い常識だけを基に書かれたものだったり。もしくは、色々と情報が足りない、条件付けが足らない。こっちの薬が強いと書いているが、それはごく限ら
れた特定の条件でのみでしか当てはまらないことだったり。

 

Web上の情報は玉石混合ということはよく言われることだが、私たちの身体に直結する医療に関する情報もそのような状態のようだ。DeNAが運営していたwelqのような記憶に新しい問題もある。

児島さんはかなり前からそういった現状に警鐘を鳴らして活動されていた。

 

実際にそういった活動をしていて、目に見えて改善されたようなことってありますか?
間違った情報が正されていく実感のような。

グーグルの検索が私たちの願うようなものになっていないという現状はありますね。根拠が不明瞭な情報が多く、特に薬に関しては違法通販サイトが増え続けています。実際に薬局での業務中にも「インターネットで抗生物質を買って良いか」と尋ねられたこともあります。

なかなか成果は目に見えて分からないというのが正直なところです。世の中の意識は少し変わったのかもしれない。

なるほど。現状を変えていくのはかなり難しそうですね。

でも「論文を活用すれば、これまで気付かなかったリスクを見逃さない、問題解決のための選択肢を広げられる」、こういったことに気づける薬剤師が増えているという実感はありますよ。

EBMについての誤解もあります。エビデンスで医師や患者を殴りつけるような、「科学的根拠が何よりも最優先」みたいな無茶な意見があります。
医療は、そんなに白黒はっきりつけられるものではない。あやふやなところを何かしらの基準で線引きしていかなければならない。
患者の希望が優先されることも多い時代だから、薬剤師にこうした意識づけをするという点では、少しずつ成果として出ているのではないかと感じています。

(執筆者注、EBM:科学的根拠に基づいて個々の患者に最善の医療を行うこと)

 

分からないことがあればインターネットを使って検索することが当たり前になった。専門家というものの存在意義も問われているように感じる。

しかしインターネットを有意義に使うことは意外と難しい。ある特定の問いに関連する情報は探してくれるがどの情報を選んだら良いか、そしてそもそもどのような問いを立てたら良いかなどは自分で行う必要がある。児島さんはそのような現状を見極めて活動されており、一定の成果は表れ始めているようだ。

次回は薬剤師の現状、そして医師と薬剤師の関係性について掘り下げいく。

中編に続く

 

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