一線で働く医療業界人の本音を訊く!vol2-ブロガー薬剤師編-(中編)

今回は医師と薬剤師の関係性について。チーム医療と呼ばれているが実際の現場ではどのような状況、そして考え方なのか訊いてみた(訊き手:小原一剛)(執筆者:小原一将)

著書が好評のようですが、出版する前と出版した後で変わったことはありますか?

(注:児島さんが執筆を続けているブログが書籍化されており、論文を基にした根拠のある情報として似ている薬の比較などを提供している。購入はこちら(2018/5現在第6刷))

環境は大きく変わりましたね。これまでは孤独に一人勉強してブログを書いていましたが、同じく論文などを活用して医療を良くしようと頑張っている人たちから声をかけてもらうことも増え、勉強仲間がたくさんできました。

やっぱり仲間ができると嬉しいし、やる気も出ますよね。

薬局って、なんか頑張っていると異端児扱いされることが多いように思います…何でそんなに頑張っているんだ?みたいな

でも今は頑張っている人が周りに多いので一人ではないなというのを凄く実感します。これが薬剤師の「普通」になればいいなという話は、よくしますね。

 

医学部の授業ではチーム医療として当然、薬剤師もいると習いました。5年生で大学病院に実習に行くと、医師や看護師、PT(理学療法士)、OT(作業療法士)とは話しましたが薬剤師と話すことは一回もなかったんです。薬剤師がどのようにチーム医療に関わっているか分からずに医師になる人も多いのではと思っていますが、その点について薬剤師はどのように感じますか?

もちろんそんな立場は変えていかないといけないと思いますよ。

逆に医師の方にお聞きたいんですけど薬の勉強を本当に細かいところまでするのは大変ではないですか?例えば自分の専門以外の科でも患者さんが薬をもらっていて、その薬を併用した場合にどのような相互作用をして、どのようなリスクがどのくらい高まるのか…それを回避するためにはどのような代替案があるのか、みたいなことです。医師が診断もした上で、そこまで考えるのは大変だと思うんです。でも薬剤師はそこを専門的に考えて仕事をしているので役に立てると思います。

確かに専門の領域以外の薬は医師は分からない場合も多いです。

医師は100人の患者を100人救おうとして診断・治療します。でも医療に100%はありません。99人を良い状態にできても、どうしても1人を取りこぼしてしてしまうこともある。薬剤師は、薬学的な視点からその1人のリスクを見つけて救う。そしてその100人に1人のリスクを1,000人に1人、10,000人に1人に減らしていく。それがチーム医療における薬剤師の1つの存在意義だと私は考えています。命はその人にとって唯一のものなので、取りこぼしは限りなくゼロに近づけたいですよね。

なるほど。そういった視点はとても新鮮ですね。

イレギュラーな背景の患者さんの治療を考える時とか、他科でもたくさん薬を併用している時とかには、もっと薬剤師を頼ってほしいなと思っています。

でも薬剤師も悪いと思います。当たり障りのない服薬指導をしたり、医師が処方した薬を飲ませることにばかり執心しているから、医師も薬剤師を頼らない。頼られないから薬剤師はますます勉強しない、という悪循環。

だから、まず勉強していない薬剤師の意識を変える。そして医師が医学的な視点から診るだけでは取りこぼしてしまう100人に1人の患者を救うための薬学的な情報・提案をフィードバックする。こうした繰り返しで、少しずつ意識が変わっていけば良いと思います。

確かに私が見ていても医師はとても多くの作業をしていると思います。ほとんどのことを医師が自分でやろうとしてしまっているから薬剤師にもっと仕事を投げたらいいですね。

こっち(薬剤師)に仕事を任せてくれたら、患者の経済的負担や薬の動態・製剤データとか色々と検証して提案できます。こういったことが当たり前にできるような薬剤師を育成しないといけないですね。

そういったことが、世間に広く認知されるようになればもっと医師が薬剤師を頼るようになるかもしれません

頼りがいのない薬剤師しかいないのに頼ってくれというのはおかしいので、まずは薬剤師を育てないといけない。その薬剤師育成に大切なものの一つがEBMだと思います。

 

やはり薬剤師としてはもっと頼ってもらいたいという気持ちはあるが、現状の薬剤師の質では難しいかもしれないとのこと。100人に1人のリスクを減らすという考え方はなるほどと思わされ、こういった考え方がもっと医師に浸透していけば変わっていくのではと思う。

それにはもちろん薬剤師の質の向上が重要になるのは間違いない。次回の後編ではそのような薬剤師の教育も含めた、薬剤師の未来について語ってもらった。

後編に続く

 

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